肺がんステージ3A闘病記録 その23・怖いかもしれない話

生活

4/5闘病22日目、一時退院6日目、晴れ
今日もいつも通りの放射線治療。
あいも変わらず飲み込みづらいは続いている。
薬を常時水にとかして飲んでいるが、よくなってるかは・・・よくわからないw
それでもやめたらもっと症状が悪く感じることが、怖くこのまま続けている。

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入院中にあった怖い?話

あまりに代わり映えしない話になってしまうので、今日は先の入院中にあったちょっと怖いかもしれない話をここに記録しようと思う。

それは深夜も過ぎ、朝方に近い時間だった。
病室は暗く4人部屋ならではの他の人の寝息が聞こえる時間だ。
周りも寝静まり時折聞こえる看護師の歩く音や、トイレに向かう患者の音・・・その程度でいつも通りの夜の時間だった。

私も寝息を立てる一人だったのだが、ふと物音がいつもと違うことに気づき、うっすらと目が覚め始めた。

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隣人Y氏

音は隣の病室から聞こえているようだ。
はて?何が起きてる??
おもむろにスマホを見ると午前4時ごろ。朝にはまだ早い。
物音から、どうやら男性の声が一番目立っていた。
看護師の方は女性しかいないので、男性は患者なのでは、と容易に察しがついた。

『だって、おかしいだろ!!』

という男性の声。何がおかしい?
興味にかられた自分は寝ていた体を起こして、聞き耳をたてる。
どうやら、彼、仮にY氏としよう。
Y氏がどうも納得行かない状態になっていたらしく、それに対して、看護師に意義申し立て!
その申し立ての声が大きくなり部屋の外に漏れてしまっているのだ。

『だからおかしいでしょ!警察に電話するよ!』

え??警察?
ちょっと想定外の大きな話に聞こえてきてしまい、尚聞き耳をたててしまった。
とはいうものの、実際に警察に電話するとは思えず、静かに状況を伺っていた。

すると『はい!そうです私Y氏です。はい!今病院で、ありえない扱いを受けてます』

うそ!?本当に電話していたようだ。
警察は110番に電話すると、電話が切れると折り返し連絡してくる。
どうやらY氏は途中で電話を切ったようで、それに折り返し連絡が来ているようだった。

今壁の向こうでまさに警察から折り返し連絡が来て、Y氏がいろいろと説明している声が聞こえる。
そしてある程度話後に、Y氏が一方的に切ったように聞こえた。
会話の中で警察に病院名をつたえていたので、多分病院に連絡がはいっているだろう。

ふふ・・・これは大ごとなのでは?

非常に興味深い状況に、好奇心を抑え切れない自分。益々聞き耳をたてた・・・と思った時に、ふと気づいた。あれ?病室の寝息が一つもなくなってる。そう!同じ病室の方々は自分と同じく状況を把握してか、同じように聞き耳をたてているようだ。

ちょっとその状況にも笑いをこらえつつ、引き続きY氏の状況に聞き耳をたてた。

その間にも他の看護師が一人、また一人と駆けつけてきていて、音だけだが、4人ぐらいはいたのではと思える音はしていた。

そこでY氏がさらに声を荒げた。
どうやら病院側が拘束具を持ってきたようで、それを発見したY氏が警察にもいうぞ!とばかりに拘束具を嫌いつつ、看護師に文句を言いつづけていた。

看護師の方々が冷静に、少しづつ状況説明をしようとしているのがわかった。だがY氏は一向に聞き入れようとしない。『おかしいだろう!』の一点張りで一向に話を聞こうとしない。

それでも看護師は説明しようと落ち着かせつつ、話しつづけていた。だがY氏は聞き入れない。

その看護師の話の断片でわかったのだが、どうやらY氏は手術をしたようで、その予後で病室で寝ていたようだ。だが、Y氏は手術のことは理解していたようなのだが、今の状況を何があったか理解できなかったようだ。そのため本来立ち上がってはいけないのに、立って歩こうとした。
それによって更にトラブルになってしまったようだった。

ここで思ったのが、よく映画やドラマでこういう暴れる人に対して、鎮静剤を打って寝かす・・・的なシーンを見たことがあるのだが、それができないものだろうか?
どうやら点滴を入れてる状態だったようなので、鎮静剤を入れることはできたと思うのだが、それも反発で簡単にはできなかったのか?などと考えてしまった。
だが、これに関しては追い追い後でわかることに。

Y氏は相変わらずおかしいだろ!の話をしつづけているのだが、内容がいまいちよくわからない状況だった。が、本人が少し落ち着いたのか、分かるように喋り始めた。

その内容が驚愕だった!
『自分は悪くない!暗いのが悪い!』
だそうだw

まてまて!まず自分は悪くないの段階で言い訳になっている、つまり彼は悪いと思い始めているようだったw
そして暗いのが悪い?・・・は?と私は思ってしまった。キッズかよ!と。
が、少しして何となくわかってきた。

どうやらY氏の中では手術して起きたら昼のはずだったのだろう。
多分手術が昼間だったから。
ところが術後、病室で目覚めた際には暗い深夜。
そこに驚いたようだ。そして歩いて脱出しようとしたようだった。

だが、立ち上がると具合が悪くなるような手術だったらしく、自力で移動が難しいようだった。
その状況にもY氏は混乱してたようだった。

なるほど!

実際に内容を理解できると何となく分かる状況だが、それだけでこんな状況までなるのか?と思った。もしかすると夢でも見て、その影響と麻酔や深夜といろんなものが絡み合って、混乱したのだろうかと。ただ大人である以上、そういうことが恥ずかしいという気持ちもあり、おかしいだろ!の一点張りで、押し切ろうとしているのかも。逆にいうと、それしか言えない状況だったのだろう。

という話を徐々に断片的に理解できてくると、声のトーンもいつのまにか落ち着きつつあり、気づいたらほとんどY氏の声が聞こえなくなっていた。
そして看護師が一人、また一人と離れていく。その際にどうやら隣の病室まで見にきていた他の病室の患者もいたようで、『やっと鎮静剤でおちつきました』という看護師の声が聞こえた。

おぉ!やはり鎮静剤は使っていたのか!

どうやら映画やドラマのような即効性がないものだったのだろう。
もしくはアドレナリンでかき消えた?どちらにしろ鎮静剤の効果はあった。
ただ効果が出るまで時間がかかっただけのようだった。

そして皆が病室に戻り、看護師も戻って静かな病室が戻った。

スマホを見ると朝の5時前、小一時間のバトルは鎮静剤で幕を閉じた。

翌日、気になって看護師の方に昨日のことを聞こうかと思ったが・・・何だか悪い気もして、一旦胸にしまっておいた。
が!隣のベッドの住人が普通に聞いていた!おい!俺も聴きたかったよそれ!
ま、おかげで少しだけ盗み聞きできたのだが、あの場合は看護師は悪者になるのだそうだ。何を言われようと、悪者になって、とにかく落ち着かせるのだと。

なるほどなぁ・・・看護師の方々の苦労を垣間見る朝になった。

ただ・・・明けた今日から看護師にY氏はどのツラさげて話をするのだろう・・・しかも警察沙汰にまでして、その上で治療、予後管理をしてもらっているのに・・・とY氏がいたたまれなくなってきた。

ちなみに私が仮退院するときもまだ入院していたので、その後どうなったかは不明である。
やはり、本当に怖いのは人なのかも・・・と思う一幕だったw

話はリアルに戻るが、この日のご褒美は丸源らーめんだったw